古物商の本人確認ルール|買取時の確認方法・必要書類・免除条件
本記事は買取事業者向けの一般的な情報です。個別の手続きや判断は、最新の法令、管轄警察署・税務署、専門家の案内を確認してください。

この記事の要点
- ✓この記事では、古物商が買取時に行う本人確認のルールを、対面取引・出張買取・宅配買取などの実務に沿って整理します。結論として、本人確認は「金額」「品目」「取引方法」によって必要性や確認手段が変わるため、スタッフの判断に任せず、確認項目と記録方法を仕組み化することが重要です。買取コージのような管理ツールを使えば、本人確認情報、古物台帳、顧客履歴をまとめて残し、記録漏れや後追い入力を減らせます。
買取店の業務で一番面倒、でも絶対に手を抜けないのが本人確認です。古物営業法第15条で、古物商は買取の際に相手方の身元を確認する義務があります。怠った場合は「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」。悪質なケースでは許可の取消しもあり得ます。
盗品の流通を防ぐための制度で、警察も厳しく見ています。「うちは小さい店だから大丈夫」は通用しません。この記事では、実際の店舗運営で「どの取引で」「何を使って」「どう確認するか」を整理します。
本人確認が必要な取引・不要な取引
すべての買取で本人確認が必要なわけではありません。古物営業法と施行規則で、確認が必要なラインが決まっています。
本人確認が必要
- 1万円以上の買取(原則すべて)
- 1万円未満でも必要な品目:ゲームソフト、CD・DVD・Blu-ray、書籍、自動車、バイク・原付。これらは金額に関係なく本人確認が必要です
本人確認が不要(免除)
- 1万円未満の買取(上記の品目を除く)
- 自分が売ったものを買い戻す場合
気をつけたいのが「1万円未満」の判定です。1回の取引で複数の商品をまとめて買い取る場合、合計金額で判定します。5,000円の商品を3点買い取って合計15,000円なら、本人確認が必要です。
ゲームソフトやCD・DVDは金額に関係なく毎回確認が必要。ブックオフのようなメディア買取店が少額でも毎回身分証を求めるのは、この規定があるからです。
使える身分証の種類
本人確認に使える書類は古物営業法施行規則で定められています。
対面取引で使える身分証
| 身分証 | 備考 |
|---|---|
| 運転免許証 | 最も一般的。住所変更がある場合は裏面も確認 |
| マイナンバーカード | 表面のみ確認。裏面(マイナンバー)はコピー不可 |
| パスポート | 2020年2月以降に発行されたものは住所欄がないため、別途住所確認が必要 |
| 住民基本台帳カード(写真付き) | 発行終了済みだが、有効期限内なら使用可 |
| 在留カード | 外国人の場合 |
| 特別永住者証明書 | 外国人の場合 |
| 従来の健康保険証 | 2025年12月1日までの経過措置が終了しているため、本人確認書類として扱わない前提で運用するのが安全 |
| 資格確認書 | マイナ保険証を持っていない人に交付されるカード。顔写真なしのため、補完確認や管轄警察署への確認を前提に扱う |
| 年金手帳 | 住所記載があること |
健康保険証の廃止と買取店への影響
2024年12月2日に従来の健康保険証の新規発行が終了しました。経過措置として既存の保険証は2025年12月1日まで使えましたが、現在は経過措置が終了しています。買取店では、従来の健康保険証を本人確認書類として扱わない前提で運用を切り替えるのが安全です。
これまで健康保険証を身分証として受け付けていた店舗は、運用の見直しが必要です。代替として使われることがあるのが「資格確認書」で、マイナンバーカードを持っていない人・マイナ保険証の登録をしていない人に対して、加入している保険者(健保組合・自治体等)から交付されます。ただし、顔写真がないため、住所確認や追加書類が必要になる可能性があります。実際に本人確認書類として扱う場合は、管轄警察署に確認しておくのが無難です。
実務上は、可能な限り運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付き身分証を優先してもらうようお客さんに伝えておくのがおすすめです。
マイナンバーカードの取り扱いには注意が必要です。裏面のマイナンバーはコピー・撮影してはいけません。確認・記録するのは表面の顔写真・氏名・住所・生年月日だけ。スタッフが知らずに裏面をコピーしてしまうと、マイナンバー法上の問題になる可能性があります。
本人確認の具体的な手順
対面取引(店舗・出張買取)
ステップ1:身分証の提示を受ける。お客さんから身分証の原本を見せてもらいます。コピーの持参はNG、必ず原本です。
ステップ2:記載内容を確認する。氏名・住所・生年月日・有効期限を目視で確認します。顔写真付きなら本人との照合も行います。住所変更がある場合は裏面の記載も確認してください。
ステップ3:古物台帳に記録する。確認した氏名・住所・生年月日・身分証の種類と番号を古物台帳に記録します。記録は取引のたびに必要です。
本人確認情報を古物台帳へどう記録するかを確認したい場合は、古物台帳の書き方完全ガイドも参考になります。
ステップ4:身分証のコピーを保管(推奨)。法律上はコピーの保管義務はありませんが、後日警察から照会があった場合に備えて、コピーまたはスキャンデータを保管しておく店舗も多いです。個人情報保護法の観点から、保管期間と破棄ルールは決めておきましょう。
本人確認書類や台帳の保存期間を整理したい場合は、古物台帳の保管期間と電子化の考え方もあわせて確認してください。
出張買取の場合は、アポイント時に「当日は身分証をご用意ください」と伝えておくのが鉄則です。現場で「持ってない」と言われると買取できず、移動コストだけが発生します。
非対面取引(宅配買取・ネット買取)
非対面の場合は、対面より厳格な確認手段が求められます。以下のいずれかの方法で確認してください。
方法1:身分証のコピー送付+転送不要郵便。お客さんに身分証のコピーを送ってもらい、その住所宛に「転送不要」の書留等を送付します。届けば住所が実在すると確認できる仕組みです。最も一般的な方法です。
方法2:身分証のコピー送付+本人限定受取郵便で代金送付。買取代金を本人限定受取郵便で送る方法です。郵便局員が身分証を確認するので、二重チェックになります。
方法3:eKYC(電子本人確認)。身分証の撮影+顔写真のセルフィーをアプリで送信する方式です。IT系の買取サービスで導入が進んでいますが、小規模店舗では導入コストが高めです。
宅配買取を本格的にやるなら、方法1の「コピー+転送不要郵便」が現実的です。
スタッフに本人確認を徹底させるには
オーナー1人で回しているうちは問題ありませんが、スタッフを雇うと本人確認の品質にバラつきが出ます。「免許証を見たけど台帳に記録し忘れた」「マイナンバーカードの裏面をコピーしてしまった」「1万円未満だと思って確認を省いたが合計で超えていた」——こうしたミスが積み重なると法令違反になります。
現実的な対策は3つあります。
確認手順のチェックリストを作る。レジ横や査定スペースに貼っておきます。「①身分証の種類は? ②有効期限内か? ③住所変更はないか? ④台帳に記録したか?」の4項目だけでも効果があります。
台帳入力を仕組みで強制する。紙の台帳だと「あとで書こう」が発生します。買取コージのような管理ツールを使えば、本人確認情報の入力を必須項目に設定できるので、入力しないと取引を登録できない仕組みにできます。人の注意力に頼るより、システムで漏れを防ぐほうが確実です。
本人確認や台帳管理をシステム化したい場合は、買取POS・買取CRM・古物台帳アプリの比較も参考になります。
定期的に台帳を確認する。月1回でいいので、台帳の記録漏れ・不備がないかオーナーがチェックしてください。古物台帳の保管期間は3年あるので、その間に警察の立入検査が来ても対応できる状態を維持しておく必要があります。
本人確認を怠った場合のリスク
甘く見ている店舗も多いですが、リスクは3段階あります。
第1段階:警察からの指導。立入検査で台帳の不備が見つかると、まず口頭または書面で指導が入ります。この段階で改善すれば行政処分にはならないケースがほとんどです。
第2段階:営業停止命令。指導後も改善されない場合、または重大な不備があった場合に、6ヶ月以内の営業停止命令が出ます。
第3段階:許可の取消し。盗品の買取に関与した場合や、本人確認を組織的に怠っていた場合は許可取消し。取消しを受けると5年間は再取得できません。
もう1つ見落としがちなのがレピュテーションリスクです。盗品を買い取ってしまい、被害者から「あの店で盗品が売られていた」とSNSで拡散されるケースがあります。本人確認をきちんとやっていれば「善意の第三者」として法的保護を受けやすくなりますが、確認を怠っていた場合は過失を問われます。
よくある質問
未成年からの買取は?
未成年者(18歳未満)からの古物買取は、各都道府県の青少年保護育成条例で禁止または制限されている場合があります。保護者の同意書があっても買い取れない地域や品目があるため、営業地域の条例と管轄警察署の運用を確認してください。年齢確認も本人確認の一部として必ず行う必要があります。
法人から買い取る場合は?
法人の場合は、取引担当者の本人確認に加えて、法人の登記事項証明書または法人の名称・所在地がわかる資料の確認が必要です。担当者の名刺だけでは不十分です。
身分証のコピーはどのくらい保管する?
法律上の義務はありませんが、古物台帳の保管期間が3年なので、コピーやスキャンデータも同期間を目安に保管する店舗が多いです。個人情報保護の観点から、保管場所のアクセス制限、利用目的、保管期間経過後の破棄ルールは明文化しておくべきです。
常連客でも毎回確認が必要?
原則として、常連客でも取引ごとに本人確認と記録を行う前提で運用するのが安全です。「顔を知っている」は法律上の本人確認にはなりません。ただし、すでに台帳に記録済みの相手で、前回の取引から住所等に変更がないことを申告してもらう場合など、身分証の提示を簡略化できるとされる運用もあります。この扱いは管轄の警察署によって解釈が分かれる可能性があるため、事前確認しておくのが無難です。
本人確認は面倒に感じるかもしれませんが、やっていることは「誰から何を買ったか記録する」、それだけです。この記録が自分の店を守る盾になります。盗品トラブルに巻き込まれたとき、台帳と身分証のコピーが揃っていれば「うちはちゃんとやっていた」と証明できる。逆にこれがないと、店側が疑われる立場になります。手間を惜しんでいいところではありません。
法令対応を日々の運用に
本人確認・記録・古物台帳を、抜け漏れなく残せる体制へ
買取コージは、本人確認情報、案件情報、古物台帳、顧客履歴をまとめて管理できます。属人的な記録や後追い入力を減らし、立入検査やトラブル時にも確認しやすい状態をつくります。
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