ガイド

古物商許可の取り方|申請から取得まで全手順・必要書類・費用を実務ベースで解説

買取ビジネスを始めるなら、古物商許可は避けて通れない。無許可で中古品を売買すると古物営業法違反で「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」になる。副業でメルカリ転売するだけでも、反復継続して利益目的なら許可が要る。

結論から言うと、古物商許可の取得自体はそこまで難しくない。警察署に書類を出して、審査を待つだけ。ただし「書類の揃え方」と「営業所の要件」でつまずく人が多い。この記事では申請の全手順を、実際の流れに沿って解説する。

古物商許可の申請先は「管轄の警察署」

古物商許可の申請先は、営業所の所在地を管轄する警察署の「生活安全課(防犯係)」。都道府県公安委員会が許可を出す仕組みだが、窓口は警察署になる。

自宅を営業所にする場合は、自宅の住所を管轄する警察署。店舗を借りる場合は、店舗所在地の管轄警察署。複数の営業所がある場合は、主たる営業所の管轄で一括申請できる。

申請前に必ずやるべきことが1つある。管轄の警察署に電話して「古物商許可の申請をしたい」と伝え、事前相談の予約を取ること。これを飛ばしていきなり書類を持ち込むと、その場で不備を指摘されてやり直しになる。事前相談では「あなたのケースだとこの書類が追加で必要」といった個別のアドバイスがもらえる。警察署によって運用が微妙に違うので、この一手間で手戻りが大幅に減る。

必要書類の一覧と取得場所

必要書類は個人申請と法人申請で異なる。まず個人申請の場合。

個人申請の必要書類

書類取得場所費用
古物商許可申請書都道府県警のサイトまたは警察署窓口無料
略歴書(過去5年分の職歴)警察署で書式配布無料
住民票の写し(本籍地記載・マイナンバー不要)市区町村役場300円
身分証明書(破産者でないこと等の証明)本籍地の市区町村役場300円
登記されていないことの証明書法務局300円
誓約書警察署で書式配布無料
営業所の賃貸借契約書コピー(自己所有なら登記簿謄本)手持ちまたは法務局
営業所の見取り図・周辺地図自作無料
URLの使用権限を疎明する資料(ネット売買する場合のみ)Whois情報やプロバイダ契約書

法人申請の場合は追加で必要

  • 定款の写し
  • 登記事項証明書(法務局で取得、600円)
  • 役員全員分の住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書・略歴書

法人の場合、役員が5人いれば5人分の書類が必要になるので地味にしんどい。合同会社で代表社員1名なら個人申請とほぼ同じ手間で済む。

「身分証明書」は運転免許証のことではない。本籍地の市区町村役場でしか発行できない書類で、本籍地が遠方の場合は郵送請求が必要。届くまで1〜2週間かかることもある。ここがスケジュールのボトルネックになりやすいので、最初に手配しておくのが吉。

申請書の書き方で迷うポイント

申請書そのものは記入欄を埋めるだけだが、迷いやすい箇所が2つある。

取り扱う古物の区分(13品目)

古物営業法では古物を13品目に分類している。

品目番号品目名具体例
1美術品類絵画・骨董・彫刻
2衣類着物・ブランド服
3時計・宝飾品類腕時計・指輪・ネックレス
4自動車中古車
5自動二輪車及び原動機付自転車バイク・原付
6自転車類自転車・パーツ
7写真機類カメラ・レンズ
8事務機器類パソコン・コピー機
9機械工具類ゲーム機・家電・工具
10道具類家具・CD・DVD・おもちゃ等
11皮革・ゴム製品類バッグ・靴・財布
12書籍古本・漫画
13金券類商品券・テレカ・切手

この中から「主として取り扱うもの」を1つ、「その他取り扱うもの」を複数選べる。リサイクルショップのように幅広く買い取る場合は「道具類」をメインにして、扱いそうなものを複数チェックしておくのが定石。後から品目追加の届出もできるが、最初にまとめて出したほうが楽だ。

行商をするかどうか

「行商する」にチェックを入れると、営業所以外の場所でも買取ができる。出張買取をやるなら必須。催事・イベント買取も同様。ほとんどの買取店は「行商する」を選ぶべき。チェックを入れ忘れると営業所の中でしか買い取れなくなるので気をつけてほしい。

申請手数料は19,000円

古物商許可の申請手数料は全国一律19,000円。都道府県の収入証紙で納付する。収入証紙は警察署か、近くの収入証紙売りさばき所で購入できる(場所は警察署で教えてもらえる)。

この19,000円は審査手数料なので、不許可になっても返ってこない。とはいえ、事前相談をしっかりやっていれば不許可になることはまずない。欠格事由に該当しない限り(破産者、暴力団関係者、過去に許可取消しを受けた者等)、許可は下りる。

書類取得にかかる実費を含めると、個人申請で合計2万円前後。法人で役員が多い場合は2.5万〜3万円程度になる。行政書士に代行を頼む場合は別途3〜5万円が相場だが、正直そこまで複雑な手続きではないので自分でやる人のほうが多い。

申請から許可が下りるまでの期間

標準処理期間は土日祝日を除いた40日。実質約2ヶ月。ただしこれは最長の目安で、不備がなければ30〜35日で下りることも多い。

逆に、書類に不備があると「補正」を求められ、その分だけ遅れる。補正期間は40日のカウントに含まれないので、最悪3ヶ月以上かかるケースもある。だからこそ事前相談が重要になる。

許可が下りると警察署から電話連絡がくる。窓口に行って「古物商許可証」を受け取れば、その日から営業開始できる。

営業所の要件で落とし穴がある

古物商許可で一番トラブルになりやすいのが営業所の要件。

営業所の要件での落とし穴### 自宅を営業所にする場合

持ち家なら基本的にOK。問題は賃貸。契約書に「事務所利用可」「事業利用可」の記載が必要で、住居専用の契約だと大家から「古物商の営業所として使用することを承諾する」旨の使用承諾書をもらわなければならない。大家がNGを出すこともあるので、契約前に確認しておくべき。

バーチャルオフィスはNG

バーチャルオフィスは営業所として認められない。古物商の営業所には「古物の保管場所」が必要だから。レンタルオフィスで個室を借りている場合は認められるケースもあるが、警察署に事前確認が必須。

実店舗を借りる場合

テナント契約なら大きな問題はない。ただし、契約書と実際の使い方に乖離がないかはチェックされる。内装工事前でも申請はできるが、営業所の見取り図は必要になる。

許可取得後にやるべきこと

許可証を受け取って終わりではない。営業開始前に3つ準備がある。

1. 古物商プレートの掲示

営業所の見やすい場所に、許可番号・氏名(法人名)・取り扱い品目を記載した標識を掲示する義務がある。サイズは縦8cm×横16cm。ネットで1,500〜3,000円程度で注文できる。

2. 古物台帳の準備

取引のたびに品目・数量・特徴・相手方の住所氏名等を記録する義務がある。台帳をつけていないと罰則の対象になる。紙の台帳でも法律上は問題ないが、件数が増えると手書きやエクセルでの管理はすぐ限界がくる。この点は「古物台帳の手書き・エクセル管理、そろそろ限界じゃないですか」で詳しく書いている。

買取コージのような管理ツールを使えば、古物台帳の記録・在庫管理・スタッフの取引履歴を一元管理できるので、開業時点からデジタル運用にしておくと後で移行する手間がなくなる。台帳の具体的な書き方は「古物台帳の書き方完全ガイド」を参照。

3. URLの届出(ネット販売する場合)

許可申請時にURL届出をしていない場合でも、あとからネット販売を始めるなら「変更届出」が必要。届出を忘れて営業すると法令違反になる。

よくある質問

副業でも古物商許可は必要?

利益目的で反復継続して中古品を売買するなら必要。自分の不用品をメルカリで売る程度なら不要だが、仕入れて転売する行為は古物営業に該当する。税務署への開業届とセットで考えておくのがいい。

許可の有効期限は?

古物商許可に有効期限はない。一度取れば更新不要。ただし、6ヶ月以上営業しない場合は返納が必要になるケースがある。住所変更・代表者変更等があった場合は変更届出を忘れずに。

ネットだけで買取・販売する場合も許可は要る?

要る。店舗を構えず、ネット上だけで中古品の売買をする場合でも古物商許可は必要。営業所は自宅でOK(前述の要件を満たせば)。

古物商許可の取得にどのくらい前から動くべき?

開業予定日の最低2.5ヶ月前。身分証明書の郵送取り寄せ(1〜2週間)→書類作成・事前相談(1〜2週間)→申請から許可まで(40日前後)→プレート・台帳準備、という流れを考えると、余裕を持って3ヶ月前に動き出すのが現実的だ。


古物商許可は手続き自体はシンプルだが、営業所要件と書類の取り寄せで地味に時間を食う。開業日から逆算して、事前相談→書類収集→申請→許可取得→台帳・プレート準備、この順番を崩さなければスムーズにいく。

これから買取店の開業を考えているなら、許可取得と並行して集客方法などもチェックしておくと、営業開始後の動きが早くなる。

古物商許可 取り方古物商許可 申請方法古物商許可 必要書類古物商許可 費用古物商許可 期間

関連記事